げつようび

ちまたはクリスマスらしい。
とくになんだか今年はクリスマスらしい感じがしないな。強いて言えば給料日。しょぼい年末調整。弱者に冷たい国家。箸をロクにもてない宰相。いまだ数量の確定しないサンタクロースの人数。

息子も、どうやらサンタクロースを認知し始めた。
早いうちにそんな人はいないことを知ってもらわないと困るので、ちょっと言ってみた「でもな、サンタクロースは本当はいないんだぞ」
「いない?」と、息子。ちょっと寂しそうだったな。
来年どうするのかは検討中。キズは浅いうちがいい。世の中は数字と論理で形成されていることを早いうちに認識してもらわないと、ないものを信仰して、統計的には確率のきわめて低い奇跡なんてものを神の思し召しと言ってしまうからな。

サンタクロースといえば、俺がそんな人がいないことを実感したのは小学校一年の時。

かねてからその存在に疑問を持っていた俺は、ひとつの仮説を立ててみた。周りの人間からは「サンタクロースは欲しいものを何でも知っている」と教えられていた。家によってはサンタクロースに手紙を書かせるらしいが、ソレは名案だ。しかしウチの場合は違っていた。そのような状況だったため、おれはひとつ仮説を立てた。
「もしサンタクロースが実在するならば、俺は何を言わなくても欲しいものが届くはず」
おれは、その一年のリスクを背負い、当日まで口を閉ざした。本当は超合金のロボットのおもちゃが欲しかった。
クリスマスの朝。
おれの枕元にあったのは絵本だった。
もちろん文句をつけた。返ってきた言葉は「だってあなた、何も言わなかったじゃない」

仮説は検証された。残念だったが、たぶん納得していたと思う。なにが残念?おもちゃが手に入らなかったこと。