第一章 トラウマ

初めて床屋に行ったのは、おそらく幼稚園児の頃。祖父に連れられて秩父のとある床屋へ。されるがままに髪を切られる(当然だ)。その後自分がどんな髪型にされたかも知らず(仮に分かっていたとしてもそれがカッコイイのかヘンテコなのかの判断は当然分からない)、祖父の家に帰宅。おれ、親族がそろっている中に扉をスッと開けて、ニュッと顔を出す。その瞬間場内大爆笑。何のことで笑われているのか分からないおれ。そのときの俺の髪型は、まゆ毛の上で髪の毛が一直線に並んだものだったという。俺は俺を笑いものにした床屋を恨んだ。心からそのセンスを恨んだ。