元木大介について

http://sports.yahoo.co.jp/hl?c=sports&d=20051003&a=20051003-00000041-mai-spo
元木が引退するらしい。33歳での引退はチョット早いのかもしれない。ただ、巨人の選手であることにこだわっての引退はある意味筋が通っており、15年間それを貫き通したことは評価に値する。
なぜ、そのようなことを言及するのかというと、かれは高校三年生のときドラフトで他の球団に一位指名されているのを断って、巨人の指名を待って一年間の「浪人生活」をしているからである。
当時では限りなくわがままに近い状態で巨人入りしたオトコが引退するときに、どこぞの選手のように「現役にこだわる」とか言って移籍を希望するのであれば非難ゴウゴウ。ではない。この世の無常観という見地からものを申し上げれば15年もすれば人の価値観は変わるというのが世の理であって、戦力外を告げられてたときに現役を続けたいという気持ちが起こるのはごく自然である。
だが、このオトコは初志を貫徹して巨人を去るとともに野球にけじめをつけた。この決断をみるだけで元木という選手がよほど巨人が好きだったのかということがわかる。
高校生から入団当初の元木に対する印象は、ヘラヘラと薄ら笑いをする一本筋の通ってなさそうな若者。ただ、歳を重ねるごとに、そのプレイスタイルと存在意義は巨人という大味な選手層のなかで他にはないニッチなものになっていった。決して長打力があるわけではないバッティングはここぞというときに機能し、守備ではピッチャーとキャッチャー以外は大体こなせるという器用さを見せる。クセモノと呼ばれる所以はそこにあったようだ。彼は彼なりに巨人という球団での自分のポジションを試行錯誤の末模索する努力を惜しまなかったと思われる。
個人的には別に惜しい選手をなくしたとという気持ちはないが、巨人における元木という自らのポジショニング設定と、巨人にこだわり通したその姿勢を高く評価する。